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最高裁判所第一小法廷 昭和31年(あ)1219号 判決 1956年10月25日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人青木平三郎の上告趣意第七点は、憲法違反を主張するが、死刑が憲法違反でないことは、当裁判所の判例とするところであって(昭和二二年(れ)一一九号、同二三年三月一二日大法廷判決、集二巻三号一九一頁、昭和二六年(れ)二五一八号、同三〇年四月六日大法廷判決、集九巻四号六六三頁)、所論は採ることを得ない。同第一点乃至第六点及び被告人本人の上告趣意は、事実誤認、単なる法令違反、量刑不当の主張を出でないものであって、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。そして、原審の是認した第一審判決が、同判決判示の罪となるべき事実を認定して(第一審判決の右認定、ことに殺意の点は、同判決挙示の証拠に照らし、当審においてもこれを是認することができる。)、強姦致死の点につき刑法一八一条、一七七条を、殺人の点につき同法一九九条を適用し、両者は同法五四条一項前段の一個の行為にして数個の罪名に触れる場合であるとして同法一〇条に基き、重い殺人罪の刑によって処断すべきであるとした法律判断は正当であって、この点に関する原審の判示は相当である。また量刑について、刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって、同四一四条、三九六条により、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 真野 毅 裁判官 斎藤悠輔)

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